毎日

ごまのいる部屋

2019.11.7

晴れ。

 

いつ頃からかわからないが睡魔に悩まされてきた。

もう殆どない記憶からいくと、小学生の時に担任の先生が「研修で眠くなって必死で手の甲をつねった」という話をしていて、それを真似し手の甲に鉛筆やらコンパスの針やら刺して授業を聞いていた思い出がある。従って小学生の頃には既に睡眠が何らかの形でおかしくなっていたのだ。

高校生の頃になると毎時間寝ていた。それでも成績が学年で10番以内だったので、私のいた高校は学力が崩壊していたに違いない。

高校の地学の授業は大岩先生だ。スリッパに018と書いてあった大岩先生だ。

大岩先生は竹の指し棒を持っていてそれで自身の背中をパシーンパシーンと叩く癖がある先生だった。彼は授業中寝ている人を容赦なく起こしその棒でおでこ指して(刺して)「そんなに眠いなら顔を洗ってこい」と言うので、授業中に睡眠を取るようなチャレンジ精神のある生徒は殆どいなかった。

しかし私はそんな大岩先生に屈しなかった。どんどん寝ていた。仕方ない。相手が大岩先生であってもそうじゃなくても私は『椅子に座ったら寝る』人間だったのだ。

どの時間も寝ていたので、地学の授業だけ眠らないで居られるはずもなく寝ていた。

でも大岩先生、実はとても優しかった。

女の子にはそんな無茶な起こし方などしなかったのだ。幾度となくオールを持ち大海原に飛び出していく私をそっと見送っていてくれていたのだ。

しかし、ある日席替えをし、私の席が教卓の真ん前になってしまった。

そんな席にいても変わらず太平洋横断に出掛けて行ったのだが、さすがにこれはたまりかねたのだろう。

必死で船を漕ぐ私の後頭部をボールペンでツンツンするとこう言った。

「顔を洗いに行きなさい」

 

授業が終わった後、後ろの席の佐々木さんが

「女子で言われたのあんたが初めてじゃん。恥ずかしいね」

このセリフを聞くまで恥ずかしいという概念がなかったので逆に恥ずかしくなり、あまり自身の記憶がないにもかかわらず、この話は隅から隅まで記憶してるという事の顛末だ。

 

それからもずっと私と睡眠は相性が合わないまま、もう人生半分くらい生きてしまった。

 

あなたはよく寝る良い子よ。
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