毎日

ごまのいる部屋

2019.10.24

くもり雨。

今日で私のアパレル販売員の人生は終わった。

およそ20年余、スナックの女、時々ボーリング調査の女、時々手術室滅菌の女、時々運び屋の女、と、いろいろやったが、私の真ん中にあったのはアパレル販売員だった。

 

思い返せばろくな事なかった。

 

誰も私に何も教えてくれなかったし、全部ぶっつけ本番だった。

売上でフロア1を取ればやっかみで虐められるなんて当たり前だった。

百貨店の集中レジのレジ金が合わなかった時、なくなった時間に会計に来たのが私だけだという理由で犯人扱いされダクト室で尋問された。

車に轢かれてもオープンミスは出来ないと血塗れで店を開けた。

豪雨で店が水没した。

スナックで働いてるというタレコミが百貨店に電話であった。

昼休憩行くと言って4時間戻って来なかった挙句サンダル新調してきた奴と働いていた。

ゴールデンウィークに売り場全員休んで1人でやりきり夜中までパンツの裾上げでミシンを踏んだ。

具合が悪くなりビニール袋に吐きながら売り場に立っていた。その後倒れ、腎盂炎と診断されるも入院拒否しまた倒れ、死ぬよと医者に言われた。

 

もう書ききれない程だ。

そしてどれもろくでもない思い出だし、そして今私にはなんにも残ってなどいないのだ。

 

やっと辞められる。

ただ、ファッションが好きで、片田舎に育ったから販売員以外の道しか知らず飛び込んで、ボロボロになって放り出された。

後悔しかしていない。

 

販売は好きだった。

でももう私にはできることもないしもう店に立てるのもいっぱいいっぱいだ。

 

やっと、やっと、辞められる。

2度とここには足を踏み入れない。

さようなら。

 

君はよく寝るいいこだ。
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